武蔵野鎮守府工作部

1/700スケール艦船模型の製作をします

ドラゴン製「リヴァモア/モンセン」を改造し
あさかぜ型護衛艦「はたかぜ」を作る

はじめに

 この記事はヤフオク出品用として製作した模型について書いていますが、これから製作する方にとっても役立ちそうな気がしたので公開しました。タイトル通りドラゴン製のアメリカ海軍駆逐艦「リヴァモア/モンセン」を改造し、海上自衛隊護衛艦「はたかぜ」を作るというものです。しかしピットロード製の「あさかぜ型護衛艦」のディティールアップにも参考になるかと思います。

 知っている方も多いと思いますが、最初期の護衛艦である「あさかぜ型護衛艦」は元々アメリカ海軍の「リヴァモア級駆逐艦」で、これがアメリカより貸与されるという形で海上自衛隊(当時は警察予備隊)に引き渡されました。あさかぜ型とリヴァモア級では相違点もあるのですが、基本は同じ形であるため小改造であさかぜ型護衛艦を作ることが出来るのです。
 あさかぜ型護衛艦自体はピットロードより1/700スケールでインジェクションキットが発売されています。しかしながら同社の癖で平面形状が太めで、「デブ」に見えてしまうという欠点があるキットでした。最大幅は正確なため指摘されづらいのですが、船首楼甲板部の形状が太め(実艦はもっと「シュッ」としている)なので「デブ」に見えてしまうのです。その上「あさかぜ型護衛艦」として製作するのにも問題があるキットで、1, 2番煙突間の甲板表現(通風筒など)や搭載機銃に間違いがあります。
 そんな中ドラゴン社からベンソン級駆逐艦およびグリーブス級駆逐艦のキットが発売されました。ドラゴン社が新設計した新しいキットであるため、平面形状や艤装のディティールはピットロードのものより優れていました。そしてフルハルとWLの2隻セットという、フルハル派、WL派どちらも扱いに困る謎構成です。私はフルハル派なのですが、流石にWLをフルハル化改造して2隻作ろうと思うほどまでグリーブス級に思い入れがないのです。もうおわかりでしょう。そう、WLの方は海自艦艇がお好きな方に向け、出品用として製作することにしました。

 ここで少々疑問に思われた方もいるでしょう。あさかぜ型護衛艦は元リヴァモア級駆逐艦なのに、なぜグリーブス級駆逐艦のキットを使うのかという点です。いやまあ「リヴァモア/モンセン」のキットなのだからと言ったらそれまでなのですが、一応各駆逐艦の建造経緯に理由があります。
 1930年代のアメリカ海軍駆逐艦の持病として、トップヘビーなことが挙げられます。これは大型の船体であった日本駆逐艦に対抗できる武装を、小型の船体に詰め込んだからなのですが、このために重心が高く常に転覆の危険に晒されていたのです。これを解決するために計画された駆逐艦群が、いわゆる「条約後船首楼型」と言われるグループになります。
 船首楼型には「ベンソン級」「グリーブス級」「(リヴァモア級)」「(ブリストル級)」駆逐艦が含まれます。ですがリヴァモア級とブリストル級はグリーブス級に含めて問題ない(形状に差がほぼない)ため、注意すべきはベンソン級とグリーブス級ということになります。両者の違いは、造船所の違いに伴い機関が異なっていたことに起因します。具体的にはベンソン級にベスレヘム造船オリジナル設計の主機を搭載していたのに対し、グリーブス級にはB&W製汎用主機を搭載していました。そしてそれに伴い煙突の断面が異なっていました。
 長くなりましたがつまりあさかぜ型護衛艦とグリーブス級駆逐艦の形状は同一ということです。ちなみにドラゴンはベンソン級、グリーブス級両方の模型を発売していますが、煙突部分の形状が正確になるよう金型を入れ替えています。

具体的な改造点

キットと資料

 まず断っておきますが、この改造にはドラゴン製「リヴァモア/モンセン」とピットロード製「あさかぜ」もしくは「はたかぜ」が必要になります。また必要に応じて純正または社外品のエッチングパーツ等を用いてください。私はフライホーク製「モンセン用エッチングパーツ」とピットロード製「あさかぜ型用エッチングパーツ」を中心に、汎用パーツを用いています。俗に言うニコイチという作業です。2つ消費するくらいなら…という方は素直にピットロード製のものでいいと思います。その場合はディティールアップの参考にしてください。
 資料としては潮書房「丸スペシャル あさかぜ型/あさひ型/ありあけ型」と海人社「海上自衛隊護衛艦史」掲載の写真資料を用いました。

艦首部


1:アンカーチェーンは「アキュレイトチェーン」に、キャプスタンはファイブスターモデル製挽物に変更。
2:キットパーツでは単装砲の型式が異なる。単装砲上部の乗員出口の位置に覗き窓を新設(写真では砲塔右上の四角いの)し、梯子を砲塔側面に移設。
3:1955年以降、復元性能向上の目的で2番砲が撤去されているため、当該位置のモールドを削ってから丸いプラ板を貼り付けた。また盲蓋上には小型三脚楼が建てられているため再現。

艦橋前部


1:フローターネットバスケットを追加。
2:(2箇所)キットにはない通風筒をプラ板を切り出して追加
3:艦橋前部の機銃は20mm連装機銃のため、ファイブスター製エッチングを用いて取り付け。ピットロードのキットでは単装機銃が取り付け指示されている。
4:この位置のライフラフトは四角いタイプであるため、(個人的に既存部品で最も出来がいいと思っている)シェルフオディティ製レジンパーツを取り付け。
5:艦橋2階(羅針艦橋下)前面はリヴァモア級の半円状のものと異なり垂直であるため、プラ材を用いて再現。この点は、あさかぜ型とグリーブス級の大きな相違点の一つであるが、アメリカ海軍在籍時である1942年時点でこの形状であった。

艦橋


1:グリーブス級にはこの位置に張り出しがあるが、あさかぜ型にはない。なお引渡し時の「あさかぜ」では確認できることから、1955年の改装でなくなったか。
2:ファインモールド製探照灯を設置。
3:手旗信号台を追加。
4:信号探照灯を撤去。
5:Mk. 25レーダーに換装。レーダー本体はピットロード製、台はフライホーク製。
6:艦橋上の光学兵装を撤去。
7:双眼鏡を追加。

前部マスト


1:ピットロード製エッチングのOPS-3レーダー。
2:ピットロード製エッチングのSPS-6Cレーダー。
3:他マスト上部はすべてピットロード製エッチング。

1,2番煙突とその付近


1:写真を参考に通風筒を追加。また救命浮標も写真で確認できた位置に付けている。
2:梯子を追加。
3:(番号飛ばした……)
4:魚雷発射管を撤去し、写真を参考に通風筒等をプラ材でスクラッチし追加。ピットロード製キットではここが再現されていないため、写真や資料を参考に作ると良いかも。
5:フローターネットバスケットを追加。

2番煙突後ろ


1:魚雷発射管のモールドを落としツライチにした。
2:渡り橋の位置は、より右舷側であるため移動した。
3:グリーブス級駆逐艦の爆雷投射機は6基であるが、あさかぜ型は4基であるため写真を参考に取り付け。
4:小物をプラ材で追加。

機銃台周辺


1:機銃台はの部分のみピットロード製キットのパーツを使用。これとデカールのせいでニコイチになってしまう。両者を自作でき、汎用パーツを用いるならピットロードのキットは不要。
2:通風筒類を写真を参考に自作。
3:ホイップアンテナを追加。
4:Mk. 51射撃指揮装置と台座を設置。指揮装置はドラゴン製、台座は自作。
5:後部マストはピットロード製エッチング。
6:40mm四連装機銃は(個人的に最も出来が良いと思う)シェルフオディティ製レジンパーツ。
7:甲板の小物をプラ材等で再現。
8:5インチ単装砲は1, 4番砲とは異なるタイプである。
9:(また番号飛ばした……)
10:ピットロード製エッチングの3連ホーサーリール

艦尾付近


1:4番砲は1番砲と同様のタイプ。
2:爆雷投下軌条脇には煙幕展開機?(ドラム缶のような何か)
3:爆雷投下軌条はグリーブス級のものより内側に寄っていたため再現。

おわりに

 自分で言うのもなんですが、あさかぜ型護衛艦の姿をよく再現できたと思います。その分費用もかかりましたが…… 駆逐艦2隻分はかかっているような気がします。シェルフオディティのパーツは高いので(笑)
 なにはともあれ、今後あさかぜ型を製作する人の助けになればと思います。

情報

 2018年9月ページ作成

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